2025.07.01

自然治癒力

船戸 崇史

 今回の通信は改めて「自然治癒力」について見てみたいと思います。この本はきっと読まれた方もおられると思いますが、原題は「Spontaneous Healing」まさに「自然治癒力」です。きっと訳者がさらに意味を込めて「癒す心、治る力」とされたのだと思います。著者はホリスティック医学の道で世界をリードされてきたアンドルー・ワイル博士(Andrew Weil M.D)です。
 あるホリスティック講義をさせていただく中で今一度読み返すチャンスに恵まれたのですが、新たな発見や気付きがあり、今更ながら一度まとめてみようと思いました。ただ、本書の引用文献も古め(1990年代)が多いにも関わらず、現代にも通用する内容であることにワイル博士の先見と洞察には驚愕です。
 今回、もう一度この本の内容に沿ってスライド形式で一緒に供覧させていただきたく思います。ただし極力スライドは原文から引用ですが、解説はかなり船戸(以下私)の独断と偏見でまとめましたので、その点ご理解の上、先にスライドをお読みいただき次に解説をお読みいただけますと幸いです。さらに紙幅の関係で割愛した章もあります。ですから、素晴らしい本なので、詳細はぜひこの本をお読みくださいね。

【はじめに】
 健康を維持するには、常に外部からの介入が必要なのか、それともそもそも身体は健康になるようになっているのか。この通信をお読みいただいている皆様は私が後者の立場を表明している事はご存じと思います。しかし、病状が進んでしまった(自らの治る力を抑制し続けている)場合は、一時的に外部からの介入も必要になるでしょう。つまり、私は原則後者(癒し)だが、時に前者(治療)だと思っています。大事な事は「身体は本来治るようになっている」という考えでしょう。

【第2章】
 しかし、「身体は治るようになっている」という表現ではなく、この「五つの知恵」では「治りたがっている」と表現されていました。もう一つ積極性を持っている表現ですね。それくらい身体には健康になる力(これがまさに自然治癒力なんです)があるという事です。そこには、大きく心の問題も絡んでいると言っています。身体は見えます(測定も数値化もできるので、比較もできエビデンス化も可能と言えます)。一方心は見えません(ですから、その定量化は困難で比較も出来ません)。心と身体は不二一体であるという捉え方が大事ですね。治療家の信念が患者の治癒力に影響するのは当然です。我々は、患者や医師である前に人として同じだからです。この五つの知恵はしっかり押さえる必要がありますね。

【第3章】
 常に伝統医学の言葉は的を得ています。上中下薬はとりわけ西洋薬では反対の序列でしょう。この考え方は学びたいですね。「自分の医者は自分自身であり、自分で治すこと。そのコツは自我を捨て、それまでの考え方を捨て、身体が勝手に治っていくに任せる事。身体は治し方をちゃんと知っている」という言葉は刺激的ですね。
 私はこの「自分で治す」という言葉が重要で、何か不足したものを補うという考え(アスクレピオス派)ではなく、本来その力があるのに邪魔している自分の生き方の訂正(スライドの自我を捨て、それまでの考えを捨てる)すれば、身体は勝手に治っていくと読んでいます。

【第4章】
 私の場合、現場において「悲観的」かと言うと決してそうだとは思っていません。ただ、慎重だとは思っていますし、そこは逆に慎重でなくてはいけないとも思っています。ただ、伝え方はあると思うので、そこは言葉を選ばなくてはいけないと思っています。例えば、再発率が99%というデータの場合、「ほぼ全員再発します」と言うか「再発しない人もいますから」と言うか・・微妙ですが、「呪い」にならぬような表現は特に医師は注意すべきだと思っています。リボーン洞戸は、この医師の呪いを説くことも大きな役割だと思っています。医師は、自らの発する「否定的観念」や「数字(余命や致死率など)」は、仮にそれが過去のデータで正しくとも、私は伝えないという選択もあると思っています。しかし押して、医師には悪気はなく「エビデンスから言うと」という魔法の言い訳を使って、正確さを強調します。問題は正しいか正しくないかではなく、その意味は何か?を考えて話すか、時には話さないという機微が「人として」大事ではないかと思っています。正しさと思いやりは拮抗する事があるのです。

【第5章】
 「真実とはリアリティのすべてにおいて真実である」は、深い言葉だと思います。「悲しみは悲しむが良い」とは、相田みつをさんの言葉です。感情は否定せずそのまま受け入れるという事。私はルルドの癒しの奇蹟もこの「受容」という心持ちが奇蹟の最初のスイッチではないかと思うんですね。難しいですが。

【第7章】
 この考え方は非常に重要ですが、「一つの全体」という概念が難しいですね。治癒系は常に作動し「治りたがっている」にも拘らず、ストレスのエネルギー量がより大きければ病気として発症する。実は病気も自然な反応の側面であるのだから、それがなくなればよい!というものではない。ただし、お知らせではあるので、生き方をチェックし、ストレスを大きくしてしまった自分の生き方を変革しなくてはいけないが、ただそれだけでもある。きっとそれが「一つの全体になる」という意味ではないかと思います。こうして、きっと健全に生ききれたとしても死はあると言います。私はその死を「健全な死」と言っています。
 治療と治癒は対立する概念ではないので、外因である治療の如何によらず治癒する力はいつも、今も大きく働いているという認識は大切です。

 「治療よりまず治癒に頼るのが先決だ」というメッセージは我々医療者に重要なメッセージですね。常に、なぜ?どうして?という視点を持つことが大事だという事だと思います。「症状」は我々が外から取るものではなく、そもそも本来起きないこの症状が起きているという事は何が原因かを考え、まずその患者の生き方が治る力を邪魔している可能性を伝えるべきだという事ですね。それにより、たとえばがん患者さんがその理由(言い分)に気が付き、受容し、生き方を大きく転換したとしたら、治癒系の非凡な力ががんを消すこともある(本文中には数時間から、数日で消失もある)という認識は重要です。

【第8章】
 ここでは具体的に「治癒系を邪魔するもの」について具体的に示されています。①~③はしっかり食べて、有酸素運動をして心晴れやかに(よく笑うなど)今を生きる事が勧められていると言えます。ただ、年齢はしかたないし、有害物質もある程度は仕方ないという意識も必要ですね。ただ一番重要な事は、身体は治りたがっている。それを超える生き方のストレスが病気を招くので、このストレスを少しでも減らす生き方が大事だという事ですね。ただ、⑧の霊的な世界やカルマの問題など扱いは慎重に。

【第9章】
 治癒系を活性化する食べ物ですね。①~④をまとめると、「少食で脂肪分を減らし、動物性タンパクを減らし、植物性タンパクとし、野菜・果物をたくさん摂る」という事になります。私はここに楽しく感謝して頂くという心を振り掛ける事がより重要だと思っています。「愛のふりかけ」と言っています。

【第10章】
 現在、日本人のがん死亡率はなかなか減りません。その原因はがん罹患率(新たにがんになる人)が上昇しているためです。ではなぜ増えているのか?それがこの章のテーマだと言えます。いわゆる有害物質が増えているのではないか?上記汚染や化学物質や電磁波などのエネルギー汚染ですね。問題はそれを入れない工夫がとても重要な事はわかりますが、一方で現代生活ではスマホだけでもなしでは生きていけない?のも事実ですね。私もですから。情報過多が分かっていても、ついていく必要があるからですね・・「え?知らないの?」と言われる言葉に強く疎外感を感じてしまいます。特に若者はね。コンビニ、ファストフード、タスクの高度化などなど私の言う五か条を削ぐ方向へ文明は発展していますから・・大きく自然回帰を叫んでも、今の生活を続けながらになります。だから、次に必要なことが、デトックスです。入ったものは出す!に限るんですね。「きれいな水を飲み、繊維質を沢山食べ、有酸素運動して、運動やサウナで汗をかく」で良いのです!私はそこに十分な休息を加えています。

【補足】
 日本医師会雑誌(がん診療2025)からの補足です。これは肺がんと子宮頸がんの罹患率のグラフですが、いずれも近時日本では増加傾向のあるがんですね。予防対策として肺がんは「たばこ対策」の遅れの結果だと言われ(フランスは確かに皆さん吸ってました)、子宮頸がんはワクチン接種の停滞(日本では有名な混乱がありましたね)だと言われています。いずれにしても罹患率を抑制できる社会要因(禁煙~卒煙、HPVワクチン接種など)もあることを知ってくださいね。

【第12章】
 身体活動の基本が「まず歩け!」です。実は歩く事と温める事は私の提唱する五か条に含まれる重要項目の2つですが、実はこれを生化学的に細胞レベルで観察すると四肢筋肉に対してダメージ(マイクロインジャリー)を与えている事が分かっています。しかし最近の研究から大事なことは、この後に「良好な睡眠」があることで組織修復される時に、ついでにがんも消す構造が見えてきたんですね。つまり、適切な運動・加温のダメージがトリガーとなって、その後睡眠に入ると(特に最初の2時間)まず成長ホルモンが分泌(筋肉・骨・皮膚・免疫系の修復)、オートファジー・ミオファジーの活性化(傷んだ細胞、ミトコンドリアの貪食再利用)メラトニン分泌(抗酸化、免疫賦活)副交感神経優位(全身修復、消化、解毒など)が起こると言われています。これをホルミシス(hormesis)効果と言います。ですから、実は運動(加温)と睡眠(良眠)はセットなんですね!

【第13章】
 心の4つの働きはどれもなるほどと思いますね。がんステージ4から生還したい人はまずステージ4で治った人のそばへ行き、その人を感じ、その人のまねをする。しかし私が思うには、きっと治った人はがんを消すことを目的にしていないと思います。あくまでがんの言い分を聴いて、その結果自分の使命(一部でも)を知り、現在の身体の条件内で行動を開始したら、結果論として「がんが消えていた」ではないかと思いますね。実はこれが一番の治療法かもしれませんから。この時に「思考」は注意が必要ですね。転ばぬ先の杖を突く為に思考は重要ですが、常に「まず転ぶ」事をイメージするし、「死にたくない」を考えた時は、まず「死」をイメージしてしまいますよね。これをするのが「脳であり、思考です」だからいつも私は患者さんに言います。「脳はねあなたの願いを否定するようにできています。だから「ノー」って名前が付いたんですよ。笑。ノーに飲まれないコツは簡単です。笑い飛ばすんですよ!そして楽しいイメージを脳に広げるんです。脳からノーが消えますから」

【追加】
 ③の呼吸を宇宙と合わせるという内容は興味深いですね。確かに外界を神(宇宙)とするなら、私の呼気は神の吸気であり、私の吸気は神の呼気でもある。ああ、だから初めに神がいて、息吹きを私に入れ込んで私が誕生したのかもしれませんね。だから「呼吸」とは、まず神の息が先に来るんですかね?神が私を「呼」んだ・・私が何を言おうが、ただ神は全てを「吸」い込んでくださる・・なんと、呼吸とは神と同化する営みだったんですね。 
 ここまで呼吸と霊性がつながっているとは知りませんでした。呼吸とは、その神の感性が「美しいものに触れた時の私たちの感性」と同じだとワイル博士は言っているのでしょうか。呼吸法で言う4:7:8の7がその神の感性を感じる時間とせよ‥という事なんでしょうか。そう思うと、呼吸が一気に神と繋がる荘厳なものになった気持ちですね。

【第15章】
 この内容はいかに現代西洋医学のスキルが本来では対象ではない疾患群まで及んでいるかという点ですね。
代替医療家もあまりに多岐にわたり、何が相応しいのか、我々医療者も分からない事があるのが事実です。しかし、本当は信じるべきは我々の身体なんですが、病気になると自分の身体への信頼感が陰り不信感を持ってしまうんですね。身体の治る力以上の無理をしているにも関わらず、そこは顧みない。実はこの浅はかさこそ本当は最も注意すべきですね。そこで、身体の不調への診断は現代医学は得意なので原因追及をする。そこから、では治療法をどう選ぶか?でこの内容が重要ですね。

【第16章】
 代替療法は本当に沢山あり、それぞれも歴史もスキルも深いものです。補完代替療法の治療家は、人間存在をBody-Mind-Splitと観ている事が多く、そのどこにメインにアプローチしているかで感じると分かりやすいかもしれません。どれも最終的にはBodyに現れてこそ気が付きますが、その部分だけの対処では解決できな事も多いです。ワイル博士は、とりわけハーブとヒプノを応用されている事が多いと感じました。そもそもハーバードの薬草学専門ですから当然かもしれませんが。(特に今回の通信では省略しましたが、多くの生薬、中医薬も紹介されています。ご関心ある人はぜひ本書をお読みくださいね) 

【第17章】
 ①~⑦は見ようによっては、この反対を行っている患者になるな!というメッセージでもありますね。①’医師の否定的な言葉を信じてしまう ②’周りに助けを求めない=迷惑をかけたくないと思う
③’医師の言う事だけ聞いていればよい ④’そもそも医師や主治医を変えることに抵抗がある(失礼じゃないか、他の医師も一緒でしょう・・)⑤’人間関係・食事・住む場所・習慣などはこのままで治したい ⑥’病気、特にがんなどは最悪で困難な事態、問題でしかない、だから治す ⑦’外に身体を治す方法、薬、手段、補完医療もある。少なくとも生活そのものを変えることが治癒に必須とは思えない。自分が治す、何が何でも勝つしかないんだ・・などですね。しかしこれらの考え方は決して間違いではなく、多分通過点です。この①’~⑦’を行ってもうまくいかないという状況になって初めて上記①~⑦という考え(境地)に到達できるのかもしれませんね。

【第19章】
 がん治療に関しては昨今の日本人のデータで年齢調整したデータでは減少傾向です。しかし、十分減らない原因は罹患者が増加しているためなんですね。理由は発がん要因が増えているためであるとワイル博士は述べていますが、この要因とは決して外因(添加物、大気汚染、電磁波、感染、たばこ、アルコールなど)だけではなく、内因として感じ方、考え方のストレスやライフタイルや生き方の習慣化の問題の方が大きいと感じています。いずれにしても、予防が最も大事である事は明白です。

【*】
 一行目はとても意味があると思います。「切れるものは切る」という考え方。これは特に乳房摘出など臓器を超えた意味を持つ場合があり抵抗があると思いますが、やはり命との比較で考えざるを得ない時があります。切らずに治ったという話は要注意。確かに切れば済む話ではありませんが、私もいまだに「もし切っていたら・・」と思う事例がある事は事実です。終わった事は全て良しですが、押してやはり「切れるものは切る」は臓器に限定されません。乳腺に罪はありませんが、生きる上で、その生き方の転換を宣言するための禊(身削ぎ)として、過去の生き方との決別を形でも表現することは思いのほか有効です。手術とは自分の身体の外に出すという行為であり、その生き方も卒業するという宣言なんですね。案外、内に入れたままでの生き方の転換は難しい場合がありますから。
 あと、抗酸化治療は確かにがん細胞の温存もあり得ますから、主治医とよく相談して納得して進めてくださいね。

【**】
 がんも「早期がん」と言われて安心してはいけません。すでに治癒系が随分衰弱している証拠です。「そのために食生活改善・定期的な運動・抗酸化物補給・強壮的ハーブ・イメージ法習得・家族関係などの見直し修復など何でも取り組む」事が重要ですね。安心したら、見直しません。必ず心当たりがあれば、それを手放しましょう。それが生き方の転換です。今後もがんという病気が消え去ることはありません。常に免疫を高め、ライフスタイル全般の改善に最大の努力が払われるべきだと言えますね。
 特に私がそのために提案する五か条(良眠・良食・運動・加温・笑い)を先ず実践してください。これは素晴らしくパワフルです!必要なことは「実践」ですから。すればするほど病気から離れます。やるだけやって後は身体が治るのに任せましょう!

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